第五回社会創造数学セミナー

日時:2016年12月27日 13:00-18:00

場所:電子科学研究所(北キャンパス)5階05-102-1

http://mlns.es.hokudai.ac.jp/access

講師: 近藤洋平 特任助教(京都大学 大学院情報学研究科 システム科学専攻
石井信研究室)http://ishiilab.jp/member/ykondo/

講演タイトル:力学系の統計的機械学習:その理論と実際

*要旨
力学系は、化学反応から気象変動まで、様々な現象をモデル化するために利用さ
れている。したがって、系を理解・予測・制御するために、力学系のパラメータ
推定やモデル選択の有用性は大きい。そこで最も簡便でしばしば採用されるアプ
ローチとして、時系列データに対するカーブフィッティングがある。しかし、系
の時間発展に確率性があるときや多変量の時系列があるとき、部分的にしか観測
ができないときにはどうするべきか?

ひとつの一貫したやりかたは、統計学・機械学習の問題にマップし、そこで推定
アルゴリズムを構成するというものである。
それによってよく検証された手法を用いることができるうえ、仮説検定や情報量
基準といった統計学のツールとの組み合わせも容易になる。
しかしそこでも真に有用な情報を得るためには、研究対象の物理学的・力学系的
構造に合わせて推定問題を適切に定式化する必要がある。

上記の事情を踏まえ、はじめにEMアルゴリズム・変分ベイズ・フィルター・スパー
ス推定といった統計学とそれらによる力学系推定の例を解説する。
そして、カオスや分岐があるときに推定はどう影響を受けるのか、また対象の力
学に関する知識(またはその欠如)をどのように扱えばよいのか、といった問題
について議論したい。