センター設置の経緯

北海道大学電子科学研究所は設立時から数学研究分野を擁する,他に類を見ない実験科学と数学などの異分野融合研究を推奨する草分け的な附置研究所の位置を確立してきました.また、北海道大学理学部数学科は北海道大学21世紀COE「特異性から見た非線形構造の数学」での活動にも見られるように国内の数学教室のなかでも早い時期から周辺異分野との数理連携協働研究の重要性を唱えてきました.そのような状況の下,電子科学研究所と理学研究院の共同提案によって北海道大学の学内共同教育研究施設である「数学連携研究センター, Research Center of Integrative Mathematics (設置期間:平成20年4月~平成27年3月)」が設置されました.同センターは,学内の数学研究ならびに数学関連分野の研究に関心を持つ研究者が兼務教員として共同で研究活動を行い,数学に関する研究成果の国内外への発信及び国内外の研究拠点との連携強化を図ってきました.また,数学連携研究センターは数学の教育研究活動の深化を支援すると共に,他の研究分野における数学的問題を探索し解決するために,数学を共通の合意言語として形成し,科学の諸領域における「つながる知」の中核としての機能を担ってきました.

その後,このような数学分野の連携研究の重要性が幅広く認識されるようになり,平成23年8月に閣議決定された文部科学省「第4期科学技術基本計画」においては数理科学が「複数領域に横断的に活用することが可能な科学技術」と位置づけられ,振興政策として文部科学省研究振興局基礎研究振興課内に「数学イノベーションユニット」が発足するに至りました.このような状況を踏まえて,本学の強みである数学連携体制の更なる強化を図るべく,センターの名称を「社会創造数学研究センター,Research Center of Mathematics for Social Creativity (略名:Math. for Social Creativity, MSC)」と改め,電子科学研究所の改組によって兼務教員だけでなく専任教員も配置した新しい組織として平成27年4月発足いたしました.