センター長挨拶

ご挨拶

2019年4月1日より社会創造数学研究センター長となりました.どうぞ宜しくお願い致します.当センターは電子科学研究所が取り組んでいる「光」,「分子・物質」,「生命」,「数学・数理科学」にまたがる学際領域研究の取り組みの中で,数学・数理科学が諸分野と協働して新しい研究分野を切り開いていくことを目的として作られました.
数学は普遍性の高い学問であり,その普遍性が故に自然科学の理論を記述する言語としても使われています.19世紀から20世紀にわたって数学はその学問自身の発展に伴い,徐々に諸科学との距離が開いていきました.そして現在は,再び諸分野と結びつき発展するフェーズに入ってきました.これまで独自に発展してきた普遍性と抽象性の高い数学と具体的な問題を対象とする諸分野を結びつけるためにはその接着剤が必要であると考えられます.その一つは数理モデリングであり,当センターの4研究分野では理論駆動型モデリング,データ駆動型モデリングを展開しております.さらに,諸科学と数学・数理科学の融合を目指した協働研究を推進すべく多くの研究分野(理学研究院(数学,化学,地球惑星科学),情報科学研究科,工学研究院,先端生命科学研究院,人獣共通感染症リサーチセンター,経済学研究科,医学研究科,触媒科学研究所から計35名(令和2年1月1日現在))の教員にも兼務教員としてセンターの運営にご協力頂いております.
このような全学的な協力体制の下,数学を中核とした異分野融合としての知の拠点として,活動して行きたいと思います.そして,数学・数理科学者と異分野研究者間の個別連携から「複数の異分野の協働を基盤とする」連携を構築し,数学・数理科学と周辺学問領域との「組織的な協働と出会い・議論の場」である“知のオープンファシリティ”を創出し,北海道大学における数理連携の中心拠点を構築していく所存であります.
また,当センターは,産学連携研究にも力をいれており,日立北大ラボと連携した滞在型共同研究をはじめとする企業との共同研究も継続的に行っております.また,2020年度より人文社会学との共同研究を推進する連携部門を設立し,理学・工学・情報学にとどまらず文学・心理学との連携研究も推進していきたいと考えております.
当センターが多くの分野との「出会いの場」となり,数学・数理科学と諸科学が協働した学際研究を今後も推し進めていきたいと考えておりますので,ご支援,ご協力を賜りますようよろしくお願い致します.

2019年4月1日
社会創造数学研究センター長 長山雅晴